総合型選抜専門塾 ココミット

志望理由書の例文集|学部別10選と受かる構成テンプレート【大学入試】

公開日: 2026年8月31日

執筆・監修|川原 駿(ココミット代表講師。慶應義塾大学法学部政治学科卒。年間約150件の総合型選抜に関わる受験相談・面談と、年間約50回の総合型選抜セミナーを実施)

志望理由書の例文を探しているなら、先にひとつだけ知っておいてほしいことがあります。例文をそのまま写した志望理由書は、ほぼ確実に見抜かれ、評価されません。

それでも例文を読む意味はあります。受かる志望理由書には共通の「型」があり、型は例文からしか学べないからです。

この記事では、学部別の例文10本と受かる構成テンプレートに加えて、例文を「自分だけの一本」に変える3ステップまで解説します。年間約150件の受験相談で志望理由書を見てきた経験をもとにまとめました。

この記事の結論

  • 志望理由書の本質は「計画書(大学で何をやるか)+証明書(やり切れる根拠)」の2つ

  • 大学名を他大学に差し替えても成立する文章は、内容がどれだけ立派でも評価されない

  • 例文から学ぶのは表現ではなく型。自分の「問い」に置き換えて初めて武器になる

志望理由書の例文を探す前に|そのまま使うと落ちる理由

はじめに、例文の正しい使い方から説明します。ここを飛ばして例文だけ写すと、かえって合格から遠ざかります。

判定は簡単です。書き上げた志望理由書の大学名を、別の大学に差し替えてみてください。それでも文章が成立するなら、その志望理由書は「あなたでなくても書ける一本」です。入試担当者は毎年何百枚も書類を読むため、借り物の文章は一目で分かります。

そもそも志望理由書は、作文でも自己PRでもありません。本質は次の2つです。

要素

内容

欠けると読み手にどう見えるか

計画書

大学で何を明らかにしたいか・解決したいか

「頑張ってきたのは分かった。で、うちで何をするの?」

証明書

それを自分がやり切れるという行動の根拠

「立派な話だ。でも、この人がやる理由がない」

総合型選抜は「これまで」ではなく「これから」を評価する入試です。ただし「これから」の信用は「これまで」の行動でしか担保できません。だから両方が必要です。

例文を読むときは、表現ではなく「計画書と証明書がどうつながっているか」を見てください。これがこの記事の一番大事な前提です。

受かる志望理由書の構成テンプレート|5つのブロック

受かる志望理由書は、ほぼ例外なく次の5ブロックの順番で書かれています。この後の例文10本も、すべてこの型です。

順番

ブロック

書く内容

1

結論

何を明らかにしたいか・解決したいかを1〜2文で言い切る

2

問いのきっかけ

その問いが生まれた経験・原体験

3

行動

問いに対して実際に動いた事実(調べた・行った・聞いた・作った)

4

学問と大学

なぜその学問か・なぜこの大学でなければならないか

5

入学後

何をどう学び、その先どうするか

文字数の配分は、800字なら「結論100字・きっかけ150字・行動200字・学問と大学200字・入学後150字」が目安です。行動のブロックを厚くするのがコツです。

学部別|志望理由書の例文10選

ここからは、5ブロックの型で書いた例文を学部別に10本紹介します。各300字前後の骨子なので、実際は指定字数に合わせて各ブロックを膨らませてください。

繰り返しますが、そのまま写すためのものではありません。各例文の後に「自分に置き換えるための問い」を付けたので、必ずそちらに自分の言葉で答えてください。

例文1|経済・経営学部(課題解決型)

私は、地元商店街の店舗が後継者不在で閉店し続ける問題を、経営学の視点から解決したい。高校の探究活動で商店街の店主10名に聞き取りを行い、廃業の理由が売上不振よりも「事業を引き継ぐ仕組みがないこと」にあると知った。事業承継を専門とする貴学の〇〇ゼミで中小企業経営を学び、外部人材が家業を引き継ぐマッチングの仕組みを研究したい。将来は地方の事業承継を支援する仕事に携わり、シャッター街を生まない地域経済の循環をつくりたい。

聞き取りという「行動の実在」が、問いに説得力を与えています。置き換えるなら「あなたが実際に動いて確かめた地域の課題は何か」に答えてください。

例文2|法学部(課題解決型)

私は、SNS上の誹謗中傷への法規制が、表現の自由を損なわずに機能する条件を法学の視点から考えたい。生徒会でSNSガイドラインを作った際、「何を禁止すべきか」の線引きが人によってまったく違うことに直面した。個人の投稿を規制しすぎれば批判や告発まで萎縮させてしまう。情報法を専門とする貴学の〇〇教授のもとで、名誉毀損の判例と各国の規制を比較し、被害救済と自由の両立点を研究したい。将来は情報分野に強い法律実務家を目指す。

「規制すべきだ」で止まらず、規制の副作用まで視野に入れた問いの立て方が評価されます。置き換えの問いは「あなたがルール作りで直面したジレンマは何か」です。

例文3|国際・外国語学部(課題解決型)

私は、日本で暮らす外国ルーツの子どもが日本語の壁で学習機会を失う問題を、多文化共生の視点から解決したい。地域の日本語教室で1年間ボランティアを続け、日常会話はできても教科の言葉が分からず授業についていけない子が多い実態を知った。「生活言語と学習言語は別物だ」という運営者の言葉が問いの出発点になった。貴学の日本語教育プログラムと海外実習で言語習得の理論と実践を学び、将来は外国ルーツの子どもの学習支援を仕事にしたい。

ボランティアの中で拾った「現場の一言」が、この一本を借り物でなくしています。置き換えの問いは「現場で聞いた、忘れられない言葉は何か」です。

例文4|社会学・メディア系学部(真理追求型)

私は、災害時にデマがなぜ善意の人によって拡散されるのかを、社会学の視点から明らかにしたい。地元の豪雨災害の際、誤った給水所情報を拡散したのが「役に立ちたい」と考えた人々だったことに衝撃を受けた。SNSの投稿300件を保存して分類したところ、拡散者の多くが注意喚起の形で共有していた。既存研究は発信者の悪意を前提にしたものが多く、善意の拡散を説明する枠組みは検証が薄い。貴学の社会情報学科で計量分析の手法を学び、この仮説を検証したい。

「分かっていること」と「検証が薄いこと」を区別できている点が、真理追求型の手本です。置き換えの問いは「あなたが数えた・記録した事実は何か」です。

例文5|教育学部(課題解決型)

私は、不登校の生徒が「教室に戻ること」を前提としない学びの保障を、教育学の視点から考えたい。中学時代、不登校だった友人が学びたい気持ちを持ちながら選択肢を知らずに孤立していく過程を隣で見てきた。フリースクール2か所を訪問して運営者に話を聞き、学校との連携の壁が制度面にあることを知った。貴学の教育制度論と学校ボランティア制度で現場と制度の両面から学び、将来は多様な学びの場をつなぐ教員になりたい。

身近な人の経験も、訪問・聞き取りという行動が伴えば立派な証明書になります。置き換えの問いは「その人のために、あなたは実際に何をしたか」です。

例文6|看護・医療系学部(課題解決型)

私は、在宅介護をする家族が孤立せずにケアを続けられる支援の形を、看護学の視点から考えたい。祖母の在宅介護を手伝う中で、本人へのケア以上に、介護する母の心身の疲労に支援が届いていないことを痛感した。地域包括支援センターに相談に同行し、家族支援の制度はあっても利用まで届きにくい実態を知った。家族看護を学べる貴学で在宅看護論と実習を重ね、患者と家族の両方を支えられる看護師になりたい。

患者本人ではなく「介護する家族」に問いを絞ったことで、他の受験生と重ならない一本になっています。置き換えの問いは「あなたにしか見えていない当事者は誰か」です。

例文7|理工・情報系学部(課題解決型)

私は、路線バスの減便で移動手段を失う高齢者の問題を、情報工学の視点から解決したい。祖父の通院送迎をきっかけに地元のバス路線の時刻表を10年分調べ、利用者減と減便が悪循環になっている構造を確かめた。プログラミングの授業で乗合の需要をシミュレーションする簡単なモデルを作り、配車の工夫で維持できる路線があるのではという仮説を持った。貴学の〇〇研究室で交通データ解析を学び、地域交通の最適化を社会実装まで見据えて研究したい。

「調べた→自分で作ってみた→仮説を持った」の流れは、理系で最も強い証明書です。置き換えの問いは「あなたが手を動かして作ったものは何か」です。

例文8|心理学部(真理追求型)

私は、同じSNSの利用時間でも自己肯定感が下がる人と下がらない人を分けるものは何かを、心理学の視点から明らかにしたい。クラスの友人間で、同じアプリを同じくらい使っていても受け止め方がまったく違うことに気づき、40名にアンケートを取って使い方と気分の変化を集計した。閲覧中心か発信中心かで傾向が分かれるように見えたが、高校生の手法では因果までは分からなかった。公認心理師課程のある貴学で研究法を学び、この問いを検証したい。

「自分の方法では分からなかった」と限界を認める姿勢が、大学で学ぶ必然性そのものになります。置き換えの問いは「あなたの調べ方では何が分からなかったか」です。

例文9|文学部・人文系(真理追求型)

私は、同じ昔話が地域によって結末を変える理由を、民俗学の視点から明らかにしたい。祖母から聞いた地元の昔話が、絵本で読んだものと結末だけ違うことが問いの始まりだった。県立図書館で民話集を調べて同型の話を12話比較し、山間部と沿岸部で結末の傾向が分かれることに気づいた。既存研究では伝播の経路は分かっているが、変化の理由は仮説の段階だと知った。口承文芸を研究する貴学の〇〇教授のもとで、フィールドワークの手法から学びたい。

「役に立つか」を無理に語らず、学問的な問いとして誠実に立てている点が評価されます。置き換えの問いは「あなたが比較して見つけた違いは何か」です。

例文10|観光・地域創生系学部(課題解決型)

私は、観光客の増加が住民の生活満足度を下げる観光公害を、観光学の視点から解決したい。観光地である地元で、混雑や騒音に住民として直面する一方、観光収入が町を支える現実も見てきた。町の観光課にヒアリングし、観光客数の目標はあっても住民側の指標がないことを知った。貴学の地域連携型フィールドワークで観光政策を学び、観光の利益と住民の生活を両立させる指標づくりを研究したい。将来は地元の観光行政に携わりたい。

「恩恵と被害の両方を知る当事者」という立場そのものが、なぜあなたが書くのかの答えになっています。置き換えの問いは「あなたは当事者として何と何の間で揺れたか」です。

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例文を「自分の一本」に変える3ステップ

例文を読んだだけでは、まだ書けるようになっていません。ここからが本題です。受かる志望理由書は、書く前の準備で8割決まります。

ステップ1|「登る山」を1文で決める

まず、次の空欄を埋めて1文で言い切ってください。

私は、〈対象〉における〈問い・課題〉を、〈学問分野〉の視点から〈明らかにしたい/解決したい〉。

文末が「何とかしたい」なら課題解決型、「なぜそうなるのか知りたい」なら真理追求型です。どちらが有利ということはありませんが、混ぜると軸がぶれます。例文1〜10もすべて、この1文から書き始めています。

ステップ2|材料を全部出す(要素出し)

山が決まったら、書き始める前に材料を机の上に出し切ります。次の問いに順番に答えてください。

  • 何が起きていて、なぜそれが問題なのか(または、何を解明したいのか)

  • その原因は何だと「されている」か。先行の取り組みや研究には何があるか

  • あなたはこれまで何をしてきたか(調べた・行った・聞いた・作った)

  • それでも解決していないこと・分かっていないことは何か

  • 大学でどう学び、確かめたいか

いちばん重要なのは4つ目です。「すでに取り組んでいる人がいる。それでも残っている問題がある。だから自分が大学で学ぶ」という3段が、進学の必然性をつくります。ここが空欄のまま書き始めると、どんな例文を参考にしても借り物の一本になります。

特別な実績は要りません。「大した経験がない」と感じる人のほとんどは、経験がないのではなく、経験をまだ言語化していないだけです。

ステップ3|因果でつなぎ、3つのテストで確認する

出した材料を「経験→問い→学問→この大学→将来」の順に、「だから」で1本につなぎます。つないだら、次の3つのテストで確認してください。

  • 差し替えテスト|大学名を他大学に変えても成立してしまわないか

  • 削除テスト|その経験を消したら、問いが立たなくなるか(ならないなら経験と問いが未接続)

  • なぜあなたテスト|同じ問いを持つ100人の中で、あなたが選ばれる理由を言えるか

3つとも通れば、あとは5ブロックの型に流し込むだけです。矢印が1本でも切れていると、読み手は必ずそこで止まります。

落ちる志望理由書の例文|よくある3パターン

最後に、添削の現場でよく見る「落ちる型」を3つ挙げます。自分の下書きと見比べてください。

NG1|大学名を差し替えても成立する

「私は幼い頃から国際問題に関心があり、貴学の充実したカリキュラムの中で幅広い教養を身につけたいと考えています。」

この文章から伝わる「あなた」の情報はゼロです。問いも行動もないため、どの大学にも出せてしまいます。直すには、関心を「問い」まで具体化し、確かめるために動いた事実を足します。

NG2|自己PRになっている

「私は粘り強く、周囲と協働しながら目標を達成できる人間です。」

これは自己推薦書の文章です。志望理由書の主語は「私がどういう人間か」ではなく「私は大学で何をやるのか」です。設問が人物像を聞いていない限り、性格の説明は計画の根拠になる範囲にとどめましょう。

NG3|理想だけで行動がない

「地方創生に貢献し、地域を活性化できる人材になりたいです。」

将来像がどれだけ立派でも、そこへ向けて動いた事実がなければ証明書がありません。盛った将来像は面接で必ず崩れます。出願直前期に新しい活動を足す必要はなく、すでにやったことを深く掘り下げて意味づけする方が速く、強い一本になります。

志望理由書の例文についてよくある質問

Q1. 例文の言い回しを部分的に使うのはあり?

構成の型と接続のしかたを参考にするのは大いにありです。一方、エピソードや問いの借用は、面接で深掘りされた瞬間に答えられなくなるのでやめましょう。

Q2. 文字数はどのくらいで書けばいい?

大学の指定字数に対して9割以上は埋めるのが原則です。配分は5ブロックのテンプレートを目安に、「行動」のブロックを最も厚くしてください。

Q3. 書き出しはどう始めればいい?

結論からです。「私は〜を明らかにしたい/解決したい」という山の1文で書き出すと、読み手が最初の3行で全体像をつかめます。時候の挨拶や自己紹介は不要です。

Q4. 締めくくりはどう書けばいい?

要約・展望・熱意の3要素を1〜3文で重ねるのが基本形です。詳しくは「志望理由書の締め方」の記事で例文つきで解説しています。

Q5. 自己推薦書とは何が違う?

志望理由書は「大学で何をやるか」、自己推薦書は「自分がどういう人間か」を書く書類です。詳しい違いは「自己推薦書と志望理由書の違い」の記事で解説しています。

まとめ|例文の先にある「自分の問い」が合否を分ける

志望理由書の例文10選と、受かる構成テンプレート、自分の一本に変える3ステップを解説しました。

  • 志望理由書は「計画書+証明書」。どちらが欠けても評価されない

  • 例文から学ぶのは型。エピソードと問いは必ず自分の経験から掘り起こす

  • 書く前に「山の1文→要素出し→因果の接続」。この準備で8割決まる

志望理由書は、正解が1つに決まらないため自己採点ができない書類です。書き上げた一本が「通るレベル」なのかは、志望校の基準で測ってもらうのが確実です。

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